こんにちは。トリートメントコーディネーターの茂木悠里です。
むし歯ができるメカニズムには、口腔内のpH値、そして、「脱灰」と「再石灰化」という作用が大きく関係しています。
まず、口腔内に存在する細菌(主にミュータンス菌)が、食べ物や飲み物に含まれる糖をエサにして繁殖し、歯の表面にプラーク(歯垢)をつくります。(プラーク1gあたりには、約1000億個以上の菌がいるといわれています…!)そして、プラーク中でミュータンス菌が糖を分解する時に酸をつくり、この酸によって歯の表面が溶け出します。これを「脱灰」をいいます。脱灰が進むと、やがて歯の表面に穴が開き、むし歯ができるのです。
歯の表面のエナメル質は、その約97%がハイドロキシアパタイトというリン酸カルシウムの一種からできていて、私たちの身体の中では最も硬い部分です。しかし、酸にはとても弱く、酸にさらされると歯の表面のカルシウムイオンやリン酸イオンが溶けて出してしまうのです。
ただ、初期むし歯になりかかっている状態であれば、唾液の働きによって元の健康な状態に戻すことができます。唾液には酸性やアルカリ性に傾いた状態を中性に戻す緩衝作用があり、エナメル質を溶かすまで酸性に傾いた口腔内もしばらくすると元の中性の状態に戻ります。さらに、唾液が、ミネラルの溶け出した歯の表面にカルシウムイオンやリン酸イオンを補給し、新たにハイドロキシアパタイトを構成します。こうして、歯は元の健康な状態に戻るのです。これを「再石灰化」といいます。
下にある2つのグラフをご覧ください。これは「ステファンカーブ」呼ばれていて、口腔内のpH値の変化を表したグラフです(940年、ステファンが初めて人間の口腔内のpH値の変化を計測したことが由来しています)。
口腔内が酸性になっている状態が一時的であれば、脱灰が起こったとしてもまたすぐ再石灰化が起こり、むし歯はできません。しかし、口腔内が酸性に傾く頻度が多ければ多いほど再石灰化よりも脱灰の方が進んでしまい、むし歯ができやすくなります。つまり、間食が多かったり甘い飲み物をだらだら飲み続けていたりすると、むし歯のリスクを高めてしまいます。
むし歯予防のためには、まずはしっかり歯みがきをしてプラークを取り除くことがが大切です。それに加えて、歯の健康のためには、なるべく間食を控えて、飲み物は糖分の含まれていないお水かお茶を飲むように心がけましょう。